映画『市子』で宮部みゆきの『火車』を思い出し

戸籍がほしくて

映画『市子』を見て、宮部みゆきの『火車』のヒロイン新城喬子を思い出した。

戸籍のない市子は、重度の障害者だった姉の月子を殺し、月子になりすます。ところがなりすますことが難しかったのか、ただ嫌になったのか、いつの間にか”市子”に戻る。

その後、市子は長谷川にプロポーズされるが、ちょうどその頃、姉月子の白骨死体が山中で発見される。月子は逃げるように長谷川のもとから姿を消す。

長谷川が市子を探しまわっていた頃、市子は自殺願望のある北見冬子と接触。冬子は市子の事情を知る同級生の北秀和とともに、海に沈んだ車中で死亡しているのが発見される。

新城喬子は借金から逃れるために自分の戸籍を捨てる。

市子も喬子も戸籍が欲しくて淡々と殺人を犯す。その戸籍をひたすら欲する姿に震える。ただ普通に暮らしたい。そう願う一途さに胸が苦しくなる。

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戸籍とは

あたりまえのように戸籍を持っている者にとっては、戸籍の重要さに気づかない。戸籍がなければ、あらゆる公共サービスが受けられない。存在しているのに、社会に存在しないのと同じようなことになる。

IDカードが抹消されて、本人確認ができなくなるドラマを見たことがある。自分の存在を証明しているものとは何なのか、考えてしまう。

戸籍を新たに作るには、本人である証明が必要なため、指紋を採取されるなどさまざまな困難な手続きがあり、途中で断念する人も多いという。

『市子』と『火車』のもうひとつの共通点

映画『市子』を見て、宮部みゆきの『火車』を思い出したのには、戸籍問題のほかに、もうひとつ大きな共通点があったからだと気づいた。次回に続く。

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