買い物で失敗したくなくて
インターネットがない時代、通販はマイナーでした。どこか胡散臭いイメージもありました。それでも下着や雑貨など、なかなか店頭ではじっくり選べないものを中心にじわじわ広がり、わたしはかなり初期から通販好きでした。店員さんを前に買い物するのがどこか窮屈だったわたしにとって、通販は気軽で、どんなものが届くのか、待つのも楽しみだったのでした。
当時は、思っていたのと違うといったハズレは、ある程度織り込み済みでした。わたしは多少の手数料は惜しまず、まめに返品すると決めていたので、返品には慣れていました。
ところが今はかつてのように通販だからはずれても仕方がないといった寛容な気持ちにはなれなくなりました。動画や写真をはじめとしたレビューなどがこれだけ豊富にあると、店頭で買うのと大した違いがないように思うからです。
だからでしょうか。通販とはいえ、できるだけ失敗したくない、いい買い物をしたいという思いが次第に強くなりました。
人気の商品なら間違いない?
通販で失敗したくなくて、ランキングやレビューをかならずチェックするようになりました。
そのうちどういうわけか売れている商品や人気の商品は、買ってもだいじょうぶないい商品であると錯覚するようになっていきました。
でもそれは、間違いでした。
商品の認知度や人気は、商品の良し悪しとは無関係であるとわかってきたのはけっこう最近です。
広告や宣伝にお金がかかっている商品ほど認知度は高まり、人気も上がります。考えてみればあたりまえのことです。もちろん品質のよさで注目される商品がないわけではありません。でも、認知度や人気は、残念なことにほぼ広告宣伝費が作り出すものであって、品質の良さから生じるものではないことにあるとき気づいたのでした。
しょっちゅうCMをしている商品や、好ましい有名人が使っている商品は信用しがちです。それが悪いわけではありません。なかにはほんとに品質のいい商品もあります。
ただその商品がはたして自分に合うかとか、値段相応か、そもそも自分に必要か、といった重要な判断をするのに、ランキングやレビュー情報はほとんど役に立たないとわかったのでした。
人気商品と聞くと、なぜかむしょうに欲しくなります。正直何がいいのかわからなくても、ただ人気というだけで、わけもなくときめいて評価しがち。とりあえずこれを選んでおけば失敗しないのではないか、とまで思いつめてしまったこともありましたっけ。
人気で品薄と聞くと、もう買わずにいられなくなります。ほんとふしぎ。
これ、すべて錯覚なんですよね。
みんな持ってるからとりあえず持っておこうという気持ちはわからないでもありません。
たとえばスマホ。わたしは親類や家族、知人との連絡用に持っています。ただそれ以外にほとんど使うことがないので、ハイスペックで高価な機種やつながり放題の大容量通信は必要ありません。うちには別にパソコンとWi-Fi環境があるからです。
人気のiPhoneを選ぶのがけっして悪い方法というわけではありません。身近な人に使い方を教えてもらいやすいからです。ネット環境もそれぞれ違います。値段もいいですが品質もいいので、案外初心者向きという人もいます。
買い物はどれだけ冷静に判断しても失敗することがあります。買ってみて、使ってみないとわからないことのほうが多いですから。自分がよければそれが正解ってことです。
大事なのは、むやみにランキングやレビューに依存しないことです。かえって良からぬ物欲に駆り立てられてしまった経験から、結局は自分でよく考えて判断するしかないことにようやく気づいたわたしです。
「情報は集め過ぎると持っていないのと同じになる」という人がいます。情報を分析して使いこなすのはかんたんじゃないですからね。最終的には信じたいものを信じるしかないのかもしれません。
買い物は出あいです。失敗もおもしろがるくらいの余裕を持って楽しみたい。
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