ほめるとは
「ほめる」とは上の者が下の者に使う言葉だと聞いてハッとした。
なるほど親は子どもを先生は教え子をほめて育てるといいなんてことをよく聞くが、逆に子供や教え子が親や先生をほめるとはあまり言わない。対等な友達には言わないこともないか。
辞書で調べると、評価するとか祝福するといった意味合いがあるので、やはり階級的な関係性があることばかもしれない。
そう思うと、これまで作文教室の保護者に、「書いたことをほめてください。」とか「いいところをほめるようにしています。」などと安易に言いまくっていたことが急に恥ずかしくなった。これはまずいのではないか。
「お疲れ様」と「ご苦労様」
昔、わたしは「お疲れ様」と「ご苦労様」の区別がついておらず、配偶者に注意されたことがあった。「ご苦労様」は上下関係で使われることばなので、相手によっては不快に感じるという。ところがだんだんそんな意味合いは薄れつつある。以前のわたしのように、知らない人も多いだろう。
ことばは移り変わる。
ことばづかいもフェアなのが主流になりそう
相手を敬う言葉遣いにはいろいろあるが、使い方を間違えると、かえって失礼になる場合があるから難しい。
相手が年長者であろうと子どもであろうと、フェアな表現のほうが今の時代には合っているのかもしれない。フェアであることこそが相手を尊重することになるのだ。
とはいえ、かつての習慣は急には変えられない。いつの時代にも新しい風潮に違和感を覚える人がいることも忘れないでいよう。謙譲語や尊敬語、丁寧語は、思いやりが伴ってこそ美しい。
結局「ほめる」は、はたして上から目線なのか。
確かに「おだてる」と混同して使いがちである。「ほめごろし」なんていう言葉もあったりして、「ほめる」にはどこか信用ならない印象がないではない。
ほめるなら率直に「素敵」とか「すばらしい」なんてのがいい。「個人的に好き」といわれるのがわたしは一番うれしいかもしれない。裏がない感じがするからだ。
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