ドラマ「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
たまたまアガサ・クリスティのドラマを見る機会が重なったのをきっかけに、あらためて読みたくなった。あらためても何も、じつは遠い昔『ABC殺人事件』に挫折して以来、まともに読んだことがない。映像ではいくつも見たけれど、とくに好きというほどではなかった。
一番有名なポアロシリーズ、中でもデヴィッド・スーシエ扮するポアロは、鼻持ちならない感じがどうしても好きになれなかった。フランス?のユーモアが理解できなかったからかもしれないし、時代背景もちんぷんかんぷんだった。そんな子どもだった頃は、断然ジェレミー・ブレットのホームズに夢中だった。
ところがつい最近、ケネス・ブラナーのポアロを見てすっかり魅了されてしまった。そんなとき『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』を見たのである。タイトルからしておもしろそうではないか。
アガサ・クリスティは「東西ミステリーベスト100」(2013)の海外編ベスト10に「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」の二作品、加えて「オリエント急行の殺人」「ABC殺人事件」「ナイルに死す」がベスト100に選ばれている。これを機にぜひ読んでみたいと思っている。
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」はノンシリーズもの。クリスティは多作でこのような単品もたくさん書いている。ドラマ化されるのは珍しいのではないか。
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ストーリーがわかっていてもおもしろい
横溝正史の作品を読んだとき、ストーリーを知っていても面白いことに驚いた。何度読んでも面白いと思わせる作品こそが名作なのだ(個人的な意見)。本格推理とかアンフェアとか難しいことは知らない。ただ「あっ」と驚かせるしかけをいち早く思いついたクリスティの功績は素直に称賛したい。きっと読むたび面白いのではないだろうか(あくまでも個人的な意見)。
ところで、ケネス・ブラナーのポアロに好感が持てたのは、俳優の好みもあるが、やはり時代背景の解釈が現代風に洗練されていたからではないだろうか。戦争体験や差別意識、格差社会など、当時をただありのまま表現すると、現代人や外国人にはいわゆる不適切過ぎて伝わらないかもしれない。だからといって原作に安易に手を入れるのは問題だ。ここのところは難しい。
とはいえ「源氏物語」やシェークスピアくらい古くなってしまうと、そのままではほぼ読めなくなる。そうなったらもう想像力を発揮して現代語訳するしかない。
だから試行錯誤しつつ適当に更新していくことが名作を末永く残す方法なのかもしれない。
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