ミシンがないから仕方なく手縫いするようになった。それが意外とおもしろい。昔から編み物や刺繍などの手芸が好きで、ミシンを操作するほうが何となくおっくうに思っている。
手縫いは暇な人が趣味でするものだと思い込んでいないだろうか。
ミシンを活用するには甘くない現実
確かにミシンは縫うのが早いし縫い目も細かい。でも便利に上手に使いこなすには場所もいる。さらに技術も必要なことは案外知られていない。たまに「よいこらしょ」と出してきて使う程度では、コストもかかるし上手に縫えない。
かと言って家庭用ミシン、じつは長く頻繁に使えるほどじょうぶにできていない。その分価格を安くしているのだ。だから洋裁が趣味のヘビーユーザーは、直線縫いしかできない職業ミシンとロックミシンの両方を持つのが常識になっている。職業ミシンは10年使っても壊れないという。そのほうが結局は安上がりというわけだ。
当然いちいち収納なんかしない。いつでも使えるように設置する場所が必要になる。
ミシンがあれば、誰でも簡単に縫えると思いがちだが、きれいに真っすぐ縫うにはそれなりの練習も必要だ。細かい部分やカーブなんかはなおさらである。
糸をボビンに巻いたり、糸の調整は自動のはずがなかなか思うようにいかないとか、いざ使おうと思うと不具合で動かない、なんて話を聞いていると、わたしなどとても使えそうにない。
ミシンが便利なのは、調子よく縫っている瞬間だけなのだ。
その前後の準備たるやいかばかりか。つくづく家庭用ミシンの甘い宣伝文句を鵜呑みにしてはいけないと思う。
本気でミシンを使いこなそうと思うなら、場所を確保し、まめに使って練習し、メンテナンスも怠らない覚悟をしなければもったいない。
ミシンがあっても結局手縫い
洋裁は、ミシンでうまく縫えるだけではいけない。ボタン付けやかがり縫いなど、じつは手縫いすることも少なくないからだ。だから当然だが、洋裁のできる人は手縫いもできる。
ミシンも手縫いも練習すればするほどうまくなる。手縫いの練習は、やろうと思えばどこでも手軽にできる。縫う前後の準備を思えば、ミシンよりはるかにめんどくさくない。何より低コストだ。
手縫いが上手になれば、アクセサリーなどの小物づくりにも活かせる。お気に入りの洋服を繕ったり、リメイクもできる。わたしはパンツやブラジャーを手縫いしているが、あまりに着心地がよくて、市販品を買わなくなった。手縫いはやわらかく、案外じょうぶにできるのだ。
最近は、刺繍のステッチをマスターして、手縫いの可能性を広げたいと思っている。
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趣味と実用を兼ね備えた魅力を持つ手縫いは、モノを大事に長く使うようにして、なるべく使い捨てしないようにしていきたいこれからの時代、見直したい技術ではないかと思う。
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