数年前から見えにくいのが気になりだした。てっきり老眼のせいだと思っていたら、緑内障と診断されたショックで、ますます見えにくくなった気がしている。
老眼はピントが合いにくくなる老化現象である。強度の近眼でも、若いころはコンタクトレンズや眼鏡でいくらでも矯正できたものだったが、老眼はそう簡単にはいかない。いくら度数を調整しても、肝心のピントを合わせる能力が劣化してきているからだ。さらに緑内障で視神経が傷んできているとなれば、以前のように眼鏡ですっきり見えるようになるはずがないのである。
元には戻れない
歯周病で歯の神経を失うと、どんなに治療しても元に戻すことはできない。緑内障も生涯薬を使って進行を遅らせることしかできないという。年をとって老化するというのは、かつてできたことがだんだんできなくなって、もう元には戻れなくなることなんだなあ、としみじみ思う。
考えてみれば年齢とかにかかわらず、人生は元に戻れないことのほうが多い。
さよならだけが人生だ
なんて言葉もある。
それなのに「前のほうがよかった」と後悔し、何が何でも元に戻らねばと思いがちだったのは、残り時間が果てしなくあるように思っていた若さゆえの錯覚だったのか。
「古いものは新しいものに取り換えればいい」などと本気で思っていた時期もあったよなあ。
できないことが増えてきて悩んでいたはずが、気づけば以前ほど、失うことを恐れなくなった。都合よく、あきらめも肝心と学んでいくものらしい。それでも以前のようにサクサク読み書きできなくなって、やっぱりかなしくなることもあったり、まだ読み書きできることがうれしくもあったりいろいろだ。それでもいつかすっかり読み書きできなくなる日が来ると思うとやっぱり怖い。
「なるものか」と奮起してみるもよし。「なるようになる」と受け入れるもよし。そのときどき、できることをやるだけだ。
どんなときも、おもしろがって笑っていられるといいんだけど……。
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