NHK総合【おはよう日本】で、「興味を引き出す女子向け理系おもちゃ」というのが紹介されていた。小学校ではプログラミング授業が始まるという。ダンスや英語にプログラミングかぁ、たいへんだ。
いつの時代の親も、その時代に合わせて、自分がやったことないような新しいことを子どもにやらせたくなる。時流に遅れないようにという親心だ。
今は算数や理科もできる理系女子を目指すのがいいらしい。
生活は理系であふれてる
女子が機械やパソコンにうとい傾向は、興味がないとか苦手とかではなくて、社会の仕組みがそうさせていた。ところが人が足りなくなったので、女子も理系で働かせようということらしい。
何なんだ理系って。教育現場では、文系と理系に分けるなんて時代遅れだと言われ出している中、女子向け理系おもちゃとは。日本らしいおもちゃの販売戦略が透けて見える。でも、まんまと売れそうだから癪に障る。
プログラミング授業に直結するようなおもちゃで遊ばせれば、子どもの興味が引き出せて、将来役立つかも、と期待してしまう親に罪はないし、売れるおもちゃを作ろうとがんばる企業にも罪はないのだけれど。
ところで、女子が理系に興味がないなんてのは思い込みだ。早くからプログラミングの勉強に親しめば、将来安泰なんてことも残念ながらない。世の中の変化は誰も予測できないし、変化のスピードはテクノロジーと共に速まっている印象さえある。その変化に乗り遅れまいと思うなら、目先の流行に翻弄されず、いちいち過敏に反応しないほうがいいような気がする。振り返れば何だったのか、意味不明なブームは過去数えきれない。
80歳を過ぎてプログラマーになった若宮正子さんは、
Excelアート(Excelを使って絵を描くこと)はクロスステッチや編み物などの手芸に通じるものがある
と述べているが、洋裁のパターンは数学的だし、料理や洗濯は化学的だ。動植物を育てるのも立派な理科の勉強である。機械やパソコンいじりだけが理系ではない。生活は理系であふれているのだ。
子どもは生活が好きだ。生活とは、生きるために欠かせない衣食住に関わる具体的で実践的な活動全般をいう。もちろん学校や仕事も含まれるが、それ以外にもさまざまな活動がある。子どもは生活から多くを学び、生活を遊びにするのがおとなよりうまい。ただ、残念ながら成績の数値に直結することばかりではない。だからといって、大事でないことは一つもない。それぞれの環境で、工夫しながら生活を楽しむためのアイデアは、求められ続けていると思う。
いつの頃からか、数値を稼ぐ勉強や仕事だけが重宝されるようになって、数値で評価されない知識や経験は軽視されるようになってしまった。しかし学歴や企業は、これまでのように将来を保証してくれなくなった。数値化されるような仕事こそ、近い将来AIに取って代わられるとも言われている。
だったら生活力を見直したほうがいいかもしれないと思っている。生活力もまた、稼ぐお金に数値化されて評価されがちであるが、生活力はお金を稼ぐ力だけではない。
世の中の価値観は変わり続けている。最新の高価なおもちゃを買い与えられない親もがっかりすることはない。
どんな世の中になろうとも、今あるものを活かして生活していく力、小さな暮らしをめざしながら養っていきたい。
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