自分と異質なものを理解するのは難しい

rikai chigai

わかってもらおうと懸命に説明すればするほど言い訳がましくなる。

少しでも正しく理解してほしくて、つい熱くなってしまう。

でも、

「自分たちはいいことしてる」と思っていると、絶対にろくなことはありません。

「いいことをしてない人」に強く働きかけようとしたり、

いいことをしているのだから、と図々しく声高になったりしやすくなります。

糸井重里が『今日のダーリン』の中で

アドラーも、相手がどう受け取るかは、自分の課題ではないと述べている。

誰に対しても、「みんな違うんだから、しようがないな」と思えるようになれたら素敵。

わからなくていい。違いを受け入れられたら。

45歳ひきこもりの息子持つ父の独白」で、その人は次のように語っている。

ひきこもりの実態を知らない人が見れば、なぜ息子が仕事をしないのか、なぜ親が黙って彼に飯を食わせ、『甘やかして』いるのか、不審に思うのは当たり前だ。理由があって、今の状態に至ったことは理解してもらえない。

つい最近、わたしも同じような体験をした。

チャレンジ雇用で働いている発達障害の子どもが疲労で休みがちになり、母親のわたしが職場に欠勤の連絡を入れたときだ。休みの連絡は本人がするという約束で、ずっとそのとおりにしてきたのだけれど、いよいよ限界で動けなくなったので、その状態を伝えたくてわたしが連絡をした。

社会保険が適用される拘束時間働かないといけないチャレンジ雇用、うちの子にははじめから厳しかった。でも、チャレンジだから休みながらでも経験を積めばいい、無理ならやめればいい、と言われて始めた。

ところがやっぱり現実は休みにくい。で、申し訳ないからやめたい、と言っても、なかなかこれが聞き入れてもらえない。

あちらも意地悪で言っているのではない。「がんばればできるのに、ここでくじけてどうする。」「お母さんも(甘やかして)将来どうするんですか。」という感じで話し合いは平行線になるのだ。

子どもは毎日ぎりぎり精一杯がんばっている。そのことをわかってもらいたくて、あれこれ言えば言うほど言い訳にしかならなくなる。

そんなやりとりを続けているうちに、子どもはだんだん、がんばれない自分が悪い、という気になって、落ち込むしかなくなるのだ。

うちの子どもの障害は、世間からはわかりにくい。わたし自身、子どもの困難を100%理解できず、これまで追い詰めるようなこともいっぱいしてきた。でも、そんなことはいくら言っても理解してもらえない。

「わかってもらいたい」と、つい思ってしまうのが間違いだったのだ。

ほんとはひとりひとり、似ているところもあるけど違う。できることとできないことが違ってもおかしくない。でも、違うことは、人間なかなかわかり合えない。

わかってもらおうと躍起にならなくても、違うのがあたりまえになったらいいのに。少なくともわたしは、違いを受け入れられる人になりたいと思う。

2 COMMENTS

アバター つぶあん

続けてコメントさせて頂いています。息子さんのことは以前のブログで読ませていただいていました。私は息子が3人いますが、3人とも小学校から不登校でした。近所でも変わった家だと思われていたと思います。息子の一人がガソリンスタンドでアルバイトをしていたとき、先輩の女性との相性が悪かったのか、辞めたいと言うので、私がついていって所長さんに辞意をお伝えしたのですが、おかしさんと同じようなことを言われました。これぐらいで辞めてたらどこにいっても勤まらない、今甘やかしたら将来のためによくないなど。所長さんにとってはこれぐらいでも息子にとってはこれぐらいではなかったんですけどね。私は就労継続支援A型事業所でパートで働いています。ご存じと思いますが、障害をお持ちのかたが一般就労を目標に就労されています。今回のブログを読ませていただいて勉強になりました。事業所側にいたら、どうしても出勤してもらうことを一番にしようとします。私の事業所でも社会保険が適用される方は少ないです。息子さんにあう職場が見つかるといいですね。

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おかし

つぶあんさんも似たような体験をお持ちだったんですね……。
障害に関わらず、できることとできないことは人によって違うんですよね。
なんて思えるようになったのは、つい最近なんですけど。
困っている人を手助けすると、その人を甘やかすことになると考える人もいますが、
できる人ができることをして助け合うほうがいいなぁ。
世の中はそううまくいきませんが。
やさしくしてもらったほうががんばれることもあるのにね。
メッセージありがとうございました。

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