この資本社会で、お金を使わずに生活するなど、現実的でないというのはわかっているつもりである。
しかし、病気やけがで働けなくなるとか、ビジネスに失敗するとか、被災したりだまされたりして、有り金すべて失うなんてことは現実的にけっこうな頻度で発生している。だから、なるべく貯金しなくちゃとか、災難に合わないようにしようと注意を払うのだけど、注意したからといって避けられないのが災難である。とはいえ心配ばかりしても仕方ない。嫌なことは考えないようにしているという人も少なくないかもしれない。
災難は、避けようとがんばるものではない。失うこと前提で、どうにかこうにか生活を立て直せるように、被害を最小限にする備えをしておくことが大事だ。今でいえば、コロナにかからないようにする対策に追われ、感染してしまったときの備えをいっさい考えないみたいな、片方だけの一点張りは、かえってリスクを高める気がしている。
今の世の中、コロナや災害、高齢化など、先行き不安がいっぱいである。そんな中、なくてはならないお金の心配は尽きない。こんなときこそ、防災訓練は重要なのだ。
お金が貯まらないうちから言うのも何ですが
こんなわたしでも、定期的に「貯金せねば」というブームがやってくる。焼け石に水であろうとも、塵も積もれば山となる。そんな気持ちでせっせと家計を見直すのだ。
そうこうしている間も、世間では「三千万円相続した」「貯金が数千万円あるものの、老後が不安」「七千万円の詐欺被害にあった」「仮想通貨数億円が消えた」などといったできごとが耳に入ってくると、数千円貯金するのに四苦八苦しているのがだんだん馬鹿らしくなってくる。
世の中には、お金をいっぱい持っている人もたくさんいるものだと感心する一方、持っていても苦労は絶えないと思い知る。円通貨だけ持っていても、暴落したら大変だ。落ち目の日本株もそのうち危ないかもしれない。たいした資産もないくせに、そんなことを考える。結局、突き抜けた富豪になって、分散投資でもしない限り、資産のリスク管理などできるものではないと思う。
そんなふうに思いを巡らしていたら、少ないお金で生活できるのが一番強いのではないか、という考えに至る。こうして定期に訪れる、わたしの貯金キャンペーンブームは終わる。
お金はなければ困る。あればあるほどいいというわけでもなさそう?
何をするにもお金がかかる。そういう世の中だけど、それでも必要なお金は人それぞれである。
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こんなチャレンジができる人はまれだけど。
といった方をはじめ、多くないお金で生活している人は、知らないだけで案外たくさんいそうである。
少ないお金で豊かに暮らすというのはやせ我慢、と思うかどうかは自由だ。
不満だが、仕方なく切り詰めた生活をせざるを得ないという場合も少なくないだろう。
お金をそれほど必要としない趣味嗜好であったり、環境というのもかなり影響しそうである。
いずれにせよ、お金がない状況というのは、ほとんどの場合、誰にも責任がなく、たまたま遭遇してしまった災害のようなものだと割り切ることも大事だ。それこそごく一部の突き抜けて裕福な人以外、誰がいつ突然遭遇してもおかしくないことなのだ。
高齢化で稼げなくなって、わずかな年金ももらえないなんて状況は、かなり現実的になってきていることを思うと、お金がたくさんなくても生活できる能力は、これから最強のスキルになるかもしれない。
お金を使わない生活を想像してみる。それだけで、かなりハードな防災訓練になりそうである。
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