同じことを伝えるにも表現の仕方はさまざまである。とくにことばの選び方は重要で、思わぬ誤解だけでなく、嫌悪感を与えてしまうことがある。
迷惑行為を注意したいとき
ちょっとその態度は困るなあってとき、どんなふうに相手に伝えたらよいものか。
取引先に「おたくの従業員が突然仕事を休むので困っている。あなたからも指導・教育願えないか。」と頼まれてしまったAさん、次のようなお手紙を出したという。
お疲れ様です。 突発的な欠勤が慢性的に発生し、増加しているようです。 人材不足の折り、予定の仕事に支障をきたし、大変困っていると聞きました。 とはいえ現場に迷惑をかけて平気でいる者は、わたしたちチームにはひとりもいないと即座に答えました。 ただ猛暑の時期でもあります。引き続き、体調管理をよろしくお願いします。
正しさで追い詰めない
なかなか上手なお手紙に感心した。
まず、従業員の突休をあからさまに責めていない点が好印象。社会人が急に仕事を休むことは、信用を失うことにつながる。しかしながら、人にはやむを得ない事情もある。
無責任と責めたいところをグッと抑えて配慮したおかげで、思い当たる人には逃げ場をつくり、身に覚えがない人の反発をうまく逃れている。逃げ場を作ることは、反省を促す効果もありそうだ。
さりげないけん制がお見事
あからさまに「突休は迷惑だからやめて」と言わないかわりに、「体調をくずして突然休まないといけないようなことにならないように注意してね」と、健康を気遣うかのようなふりをして、さりげなく突休をけん制しているのはお見事。
こうしてAさんは、取引先との面目も保つことができたのだから大したもの。
何事もストレートに言えばいいというわけではないお手本である。
とはいえ、はっきり言わないとわからない人もいるだろうし、迷惑をかけているとしても、「そんなの知ったこっちゃない」という人もいるだろう。でも、そうした一部の人を排除することに集中し過ぎると、大事な人を失ってしまうことがある。
人間関係で嫌になったときは、「これだけ嫌な人がいるのなら、きっとどこかに素敵な人もいるに違いない」と思うことにしている。いろんな人がいていいのだ。ダイバーシティの精神を思い出したいと思う。
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