家事も仕事だし、子育ても介護も仕事で、お金にならないけど役に立つ仕事は山ほどあって、そういう仕事をおろそかにしないで暮らせたら、どんなにいいかと思うけど、やっぱりそういうわけにもいかなくて、誰もかれもが労働せざるを得なくなってるからたいへん。
生活には、お金儲け以外にも、大事な仕事がいっぱいあるのになぁ。
誰もが働くということ
うちの子は発達障害者としてチャレンジ雇用という制度で働いている。
制度上、ひと月の最低労働時間が決められていて、それをクリアするのがかなりつらいようで、そのたびに話し合いが持たれる。
クビにならずに話し合いが持たれるのは、一般企業ではなく、お役所のチャレンジ雇用だからで、かなり恵まれている。当初はたいへんありがたく思ったけれど、それがかえって当事者を苦しめることになっている。
連絡して休むことについては、まったく問題ないと理解を示すものの、チャレンジ雇用は、経験を積んで、いずれどんな職場に行っても、休まず勤められる労働者になれるよう支援するのが目的の制度。
個人の障害に寄り添った支援ではなく、当事者のがんばりに期待する支援だったのだ。
うちの子の場合、はじめから拘束時間がネックだった。疲労がたまると動けなくなり、不眠になる。見た目にわかりにくく、意欲がない怠け者にしか見えない。
医師によると、一般社会のペースに合わせるのに、異常なストレスやエネルギーを消耗してしまう特異な働き方をする脳らしい。
いずれ慣れて、そのうちラクにできるようになるのかどうか、本人にもわからないことだったこともあり、無理ならやめればいいチャレンジ雇用ということで、やってみたものの、やっぱり周囲の期待には応えられないことを思い知り、苦しむことになった。
一定の制度や一律の条件内では働けなくても、役に立たない人はいない。そういう人たちが支え合って働けたら、どれだけの仕事ができるだろうか。
各個人が人と競争しながら自分だけの利益を追い求めれば社会全体が自然と豊かになっていく、という幻想が破れつつある時代を今私たちは生きている。
「競争の幻想息合わせ破る」朝日新聞、多和田葉子のベルリン通信より
競争しないで、はじめから利益も求めずに、生活に必要なことを、できる人ができることを連係し合って仕事するスタイルは、協調性に長けていると言われた日本人が本来得意としてきた方法だったりして。
案外生活を豊かにするかもしれない。
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