町内会の役員が回ってきて

cyonaikai yakuin

町内会の役員が回ってきた。うちの町内会は二つの班からなり、役員は各班の班長と町内代表の会長からなる。班長は自分の町内住民の世話係だが、会長は町内代表として、さらに広域グループの役員の一員となる。

今回は二度目の会長役である。はじめての会長役は、越してきてまだ間もないとき、わけがわからないままやらされて、不満だったことだけ覚えている。でも、そのおかげで近所の住民と知り合うことができたのはよかった。ただあまりに昔のことで、仕事についてはほとんど忘れてしまった。

若い時ほど嫌でなくなったかも

わたしはPTAや子供会の役員も嫌で嫌で仕方なかった。

しかし、仕事や介護の事情に関係なく、子ども一人につき一回は役員をせねばならないルールだったので、仕方なく一回だけ引き受けたことがあった。

くじ引きを引いて当たった人が泣いてしまったり、行方をくらまして連絡がいっさいとれなくなる人もいたりして、毎年役員を決める時期は大騒動だった。確かに、当時のPTA活動は負担が大きく、嫌がる人の気持ちもよくわかる。必要なのか疑問に思うこともよくあった。今は当時より多忙な人が多い。今も同じ感じなんだろうか……。

誰でも引き受けやすいように、負担を軽く変えていった方がいいと思うのだが。

うちの町内も高齢化が著しく、ここ数年で空き家になるところも出てきた。役員の順番を抜ける人も出てきている。

わたしもPTAや町内会の役員なんて、もしも順番でなかったら、わざわざ自ら引き受けたりしない。若い頃はやりたい人がやればいいし、いないならなくてもいいとさえ思っていたが、年齢とともに考えが変わってきた。

確かに「必要なの?」と思いたくなるような活動が無駄に引き継がれている一方、今こそ必要な活動ではないかと思うことがおろそかになっている現状があってもどかしい。人が共に生活していく限り、こうした社会活動はなくならないし、誰かがやらないといけない大事な仕事だと思うようになっている。

年をとると、いつ誰のお世話になってもおかしくない。今の世の中、年齢にかかわらず、どんな人も、いつ誰の助けが必要になるかわからない。

だから誰もが何かしらできることで社会参加することは、ある意味リスクマネジメントといえるかもしれない。

お金を支払って委託するリスク

都会のマンションに住んでいた時、管理会社主導で役員会が行われていた。

平時は便利でいいのだが、阪神大震災後、管理会社が変わってたいへんだったことがあった。管理会社に支払う経費も莫大だった。しかし、ふだんから住民同士の意思疎通がほぼまったくないような状態だったので、結局は管理会社が好きなように経費を使い、肝心な時の積立金が不足する事態が早くから予想されることが問題になっていた。

今は何でもお金で買えてしまう。めんどうなことはお金を支払って委託する方法がいくらでもあるのだ。確かに、何でもかんでも自分でやることはない。PTAのように負担が重過ぎて、誰も何もやりたがらなくなってしまっては何にもならない。

うちの町内会もコロナ禍になって以来、恒例の草刈りを森林組合にお金を支払って委託するようになった。しかしその経費がどれくらいかかるか、町内の住民はみな知っている。草刈りに使われる道具や燃料の管理をはじめ、町内会費がいつ何にどれだけ使われたか、毎年決算報告をし、次期の役員に引き継がれることになっているからだ。こうして町内会の活動は、すべて住民に共有されている。

ゴミステーションの鍵と指導・掃除当番も順番に回って来る。そのせいか不法投棄は非常に少ない。(残念ながらまったくないわけではない……。)当番の経験があったり、知り合いが当番だったりするので、うかつなことがしにくいからだと思う。

都心のマンションでは予算も莫大で住人の数も多い。住人がすべての管理を担うのは困難である。しかし、お金を出して管理してもらうことに慣れてしまうと、最終的には結局負わねばならないそこで暮らしている住人としての責任を忘れてしまいがちだ。

人が集まって暮らす限りめんどうは避けられない。お金で解決できることは限られている。わたし自身「めんどくさい」と思いながら仕方なく引き受けた仕事をやって、はじめてわかったことがたくさんあった。知らなかったご近所情報が得られたり、知り合いができるという思いがけないメリットもあった。

べつに仲良くならなくてもいいのだ。ただお互いに気持ちよく暮らしていくために、できることをしていると思えばいい。ちょっとずつ負えるだけの責任を持ち合えたなら、もう少し生きやすくなるかもしれない。

平等もいいが、できる人ができることをする、でいいのではないか。しんどくなったら逃げるのもありでいい。めんどくさい役員や世話役を逃れることが得で、押しつけられたら損といった価値観はもう古い。高齢化で人手不足といわれる今、誰もが気軽に参加しやすいコミュニティで、互いに負担や責任を分かち合うことができたらと思う。

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