NHKのクローズアップ現代でハローワークが行っているほぼ無料の職業訓練について紹介されていた。
就職に有利な実践的な技術がお金をかけずに身につけられる。中には月10万円の給付金がもらえる場合もある。しかし、あまり知られていないのか、うまく活用されていないみたいだ。
柔軟な働き方と社会保障
わたしの子どもは発達障害でフルタイムの仕事は難しい。しかし、労働時間が一定以上なければ社会保険に加入できず、配偶者の扶養家族のままである。
アメリカ人が国民皆保険の社会保障を嫌うのは、自由な働き方ができなくなるからだと聞いた。なるほどきちんとした社会保障制度に加入するには、どうしても労働に拘束される面がある。日本では正社員といった不自由な身分をありがたがるが、アメリカ人はそんな窮屈な身分より自由を好むということかもしれない。
人には育児や介護、持病や障害など、さまざまな事情がある。自由に夢を追いかけたり、気ままな旅をしたくなるときもあるかもしれない。そんなとき、もっと柔軟に働ける環境だったら素敵だと思う。フルタイムは無理でも働きたいと考える人は少なくない。能力や意欲はそれぞれそれなりにあって、そういうのはたえず変化するものだ。最低週に5日、1日8時間働くフルタイム労働のほかに選択肢がなく、それ以外は落ちこぼれ労働のような雑な分類をしている間は、誰もが活躍する社会の実現はむずかしいかもしれない。
先の職業訓練には以下のような受講要件がある。
①訓練に関連する職種への就職を希望している方
②訓練を受講することに熱意を有する方
③訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有する方
④訓練受講・修了に支障がない方(健康状態や受講態度等)
さらに
- 通常の訓練時間は、月曜日から金曜日の9:10~15:35です。
- 訓練終了2か月前から、目指す仕事が決まるまで、訓練と並行して就職活動に取り組んでいただきます。
とある。
職業訓練の対象は、仕事につけなくて困っているギリギリの人を救うためのセーフティネットだというが、これでは時間やお金がない人は受講できない。
また、人気殺到で順番待ちの訓練は修了しても就職につながらず、100%就職できる訓練の中には定員割れのものがあるというから何だかなあという感じである。
気の合う人、仕事ができる人、サボらない人、まじめな人、そんな都合のいい人だけを集めようと選別して排除すればするほど、集まってくる人は画一化され、組織は衰退するという矛盾が発生する。
働きアリの一部は働かないと聞いたことがある。働かないアリを除いても、また一定数の働かないアリが現れるという。そうしてあり社会は、多様性を維持しているのかもしれない。
時間やお金には限りがある。だから働き方も社会保障も無制限に自由でいいというわけにはいかない。でも多様な労働者が最低限の社会保障のもとで暮らせてこそ、社会はたくましく強くなるのだ。そのいい具合の落としどころは、たえずすったもんだしながら探っていくよりほかになさそうだから嫌になる。
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