読書ガイドブックばかり増える
学生時代から文学史の教科書が好きだった。主な名作のあらすじが掲載されていたからだ。そのおかげで読んだ気になってしまって、漫画以外ほとんど読書しなかった。思えば当時からガイドブック的なものが好きだったのかもしれない。
読書は嫌いではない。でも片っ端から読むのでもない。好きとはいえ、暇さえあれば何でもいいから読むというタイプではなかった。なるべく自分がおもしろいと思う好みの読書を効率よく無駄なく読みたいというわがままな読書志向のため、なかなか読書が進まなかったのだ。
この年になって、ようやく読書に時間を割いてみようと思い立ち、残り時間も多くないことだし『東西ミステリーベスト100』に従って読み進めようと決めていたのに、案の定目移りしている。
『日本文学100年の名作』も読み始め、文庫本に専念するのもおもしろいとなって、荒川洋治の『文庫の読書』や中公文庫の『文庫で読む100年の文学』というガイドブックを拾い読みする始末。なかなか進まない。
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【日本文学100年の名作】第3巻にある芥川賞作品を読んで
先日、<日本文学100年の名作>第3巻にある中山義秀の『厚物咲』というのを読んだ。
これは何とも言えず陰気臭いある老人の生涯の話。
それがどういうわけか心惹かれてついつい読み進めてしまった。個人的におもしろかったのだと思う。ずんとくる何とも言えない読後感。何がどうおもしろいのかと言われたら困ってしまう。この年になると、悲喜こもごもあるヒトの生涯が身に染みるのかもしれない。
これが第7回芥川賞受賞(1938年)作品であることを知り、がぜん芥川賞受賞作品が気になるようになった。
ほかの芥川賞作品を読んでみたい。そう思っていたら『芥川賞ぜんぶ読む』というおもしろい本を見つけた。芥川賞84年間180作品のガイドブックである。
またしてもガイドブック。
ガイドブックで読んだ気になる読書人生なのかもしれない。
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