『嫌われる勇気』を読んで

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図書館で順番待ちしていると、人気本ほど世間のブームからかなり遅れて読むことになる。

この『嫌われる勇気』は、見ると2013年12月が初版。まだあとに20人ほど待ってます。

知らなかったんですが、アドラー心理学の本だったんですね。しかも青年と鉄人の問答スタイル。

タイトルからして説教臭そうな自己啓発本。好んで選ばない類の本です。

でも、さすが話題になっただけのことはある。とても面白く、あっという間に読んでしまいました。

アドラーがフロイトやユングほど有名にならなかった理由

心理学といえば、日本ではフロイトやユングが有名ですが、アドラーは三大巨頭の一人なんだとか。

どうして日本ではフロイトやユングと並んで有名にならなかったのか、読んでみてちょっとわかった気がしました。

アドラーは、トラウマとか承認欲求とか、わりと一般的に好んで使われてる概念を否定しているほか「人は同じではないけど対等」とし、他者と競争することも否定的。

個人の自立を提唱していて、市場社会になじみにくく、権力者が利用しにくそうな教え。

頭でわかっても、なかなか実践できない宗教みたいな印象。

一時的なブームにはなっても、日本に根づくかどうか……。

アドラーが日本人うけしなさそうな理由

『父が娘に語る経済の話』の著者ヤニス・バルファキスは、

私が絶対に嫌だし恐ろしいのは、気づかないうちに誰かにあやつられ、意のままに動かされてしまうことだ。たいていの人は私と同じように感じているはずだ。

と述べている。

わたしはヤニス氏のこの本が大好きで、市場社会の限界を学べてよかったと思っている。

でも、わたしはほんとのところ「気づかないうちに誰かにあやつられ、意のままに動かされてしまうこと」をそれほど嫌だし恐ろしいと思っていないふしがある。

「世の中、ちょっと変。」と思っても、自分の暮らしが誰かに支配されているとまではなかなか考えが及ばない。

「世の中、おかしい。」と思っても「同じアホなら踊らな損」とばかりに、輪の中で踊らされてたほうがラクだと思うことも少なくない。

ほんとのことなんか別に知りたくないし、ややこしいことになるくらいならこのままでいいや、と思う。

政治に期待してなくて、変化を望まない若年層が現政権を消極的に支持しているという記事を読んだ。

混乱するぐらいなら今のままでいいと考えるのは何も若い人だけじゃない。

「長いものには巻かれろ」と言うではないか。

今よりよくなりたいとは願うけど、そのために変わることには尻込みする。

いろいろめんどうだし、嫌な目に合うかもしれないと恐れる。

そんなわたしが日本人の典型とは思わないけれど、「まず自分から変わろう」という個人の自立を唱えるアドラーの教えは、「みんなで渡れば怖くない」風潮が根強い日本人には相当敷居が高い。

それでもアドラーは、変わらなければ幸福になれないと言います。

そこが勇気の心理学と言われるゆえん。

この日本でここまでベストセラーになったのは、物語仕立ての問答スタイルが読んでいて楽しいからか。

それともこんな島国日本も、いよいよ個人の自立と社会性に目覚めるときが来つつあるのか……。

変わりたい人におすすめ。

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