【背伸び読書】『創造する破壊者-ウイルスがヒトを進化させた』を読んで

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コロナ禍中の今、タイムリーと言えばタイムリーなウイルスの本を読んだ。『ホモデウス』が衝撃的なおもしろさだったと話したわたしに「それならこれはどう?」と紹介された本である。

読書というのは、事細かに理解できなくても、おもしろいものはおもしろいとわかるからふしぎだ。

レヴィ=ストロースやヘーゲルのように、難解でこりゃ駄目だというのは、少し読んだらわかる。そういうのもときどき再チャレンジしては、やっぱりちんぷんかんぷん具合を実感し、がっかりするやらおかしいやらで、それはそれでおもしろい。「そろそろ読めるかも」と思っては手に取るわたしはほんと懲りない。

ほんの少し背伸びするくらいの読書がじつは一番刺激的。『創造する破壊者』は、そんな一冊。

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ふつうウイルスのことは知らない。

ふつうの人はウイルスのことはろくに知らない。わたしも細菌とか微生物と混同し、病原菌みたいに思っていた。だからこの本を読む前と読んだあとでは、ウイルスのイメージがガラリと変わってしまったことにまずびっくり。

ウイルスは遺伝情報を持つ物体で、生き物の細胞に取りついて、自身をコピーして増える。まるでくっつき虫のような種みたいだ。当然生き物の誕生後に出てきたものと思っていたら、生命の誕生以前から存在していたらしいというから驚いた。

いったい何もので何が目的なのか?

ウイルスだけでは増えることができない。だからウイルスは生き物ではないことになっている。取りついた宿主を殺してしまっては、ウイルスは増えることができない。だからウイルスは宿主を殺してしまうと都合が悪いといわれている。でも、ウイルスが本当にただ増えることを目的にしているかどうかはわかっていない。

福岡伸一の『生物と無生物のあいだ』を思い出した。

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ウイルスが生き物にもたらす情報が生き物を進化させ、多様化させてきた証拠が次々にわかってきているという。ヒトの遺伝子の多くがウイルス由来だということも知られるようになった。でもその振る舞いは謎に満ちているのだ。

同じウイルスにとりつかれても、一方の生物にはまったく影響がないのに、よく似たもう一方の生物が全滅してしまうようなことも繰り返されているという。

ウイルスが目的を持っているのかどうか知らない。ただ浮遊して、たまたまカチッとはまる相手に遭遇したとき、たまたまコピーのスイッチが入るだけのことかもしれない。何にでも目的があると考えるのは、ヒトの脳の癖だと読んだことがある。

ウイルスを見る目が変わる

ウイルスは生き物が誕生するより前から存在していたとしたら、ウイルスのほうがヒトよりはるかに先輩なわけで、共存というのも上から目線かもしれない。

新型コロナには、どうかうまくつきあってくださいとお願いしたい気分。

無症状感染者が相当数いると思われる新型コロナからヒト社会を守るには、理想的には無症状感染者をはやく見つけて隔離することだという。これはなかなか難しい。かといって外出自粛を繰り返すのも無理があるし、三密を避ける活動に限定するのももう限界がきている。ワクチンは時間がかかり過ぎて話にならないし。

やっぱりどこにも負担がかからないようにして、スムーズになるべくたくさんの人の検査と隔離が行える制度づくりを本気で考えたほうがいいかもしれない。でも、それは検査を増やせば医療崩壊するといった懸念を払しょくするものでなければならない。そのためには実際どのくらいの人が無症状なのかといったデータをとることも必要だ。もちろん子育てや介護をしている感染者の対応も忘れてはならない。

もし、感染者の多くを症状や事情に合わせてうまく隔離することができれば、ほかの人は安心して通常の生活ができるだけでなく、感染したとしても時間を無駄にすることなく安心して療養できるだろう。検査漏れが多少あったとしても、大きな感染爆発は抑えられ、終息が早まる可能性もある。

多少お金をかけても、これが一番安上がりな気がする。

今回、問い合わせ窓口や検査、病院などの現場で混乱した経験は決して無駄にはならない。今後どうすればうまく回せるかといった改善に活かせるからだ。

なんて、わたしが知った風に言うことではないとわかっている。でもまた、同じことの繰り返しで苦労しないことを心から願わずにはいられない。

新型コロナウイルスを見る目が一変する一冊。

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