ヤニス・バルファキス氏の『父が娘に語る経済の話』で一番ショッキングだった話。
銀行は何もないところから魔法のようにお金を勝手に作ってるって話。
口座に数字を入れるだけなんだって。
そうやってお金を貸し付ける。
だからいっせいに口座からお金を引き出そうとする取り付け騒ぎが起こると銀行は破綻するんですね。お金なんてどこにもないんですから。
これってすごいことじゃないですか。
貸付先が破綻しても銀行は損しない
銀行もはじめは、ちゃんと返済能力を査定して、お金を貸しても返してくれる安全な相手にしか融資してなかった。
ところがあるとき、銀行はお金を貸しても損しない方法を発明します。
それで歯止めがなくなったとか。
それが債権の販売です。
貸付金を小口に分割し、お金を回収できる権利を売り出すことを思いついたんですね。
そうすると貸付先がその後破産しようが関係ない。
銀行は返済を待つことなく、利子付きでお金が回収できるというわけです。
こうすれば、借金が返せなくなっても損をするのは銀行ではなく債権者。
銀行が必死で販売している債権には要注意。
そんなお金に翻弄されて
通帳の残高に一喜一憂している暮らしが何だか馬鹿らしくなってきます。
お金にすべて依存する暮らしの危うさをつくづく考えさせられます。
とはいえ、そんなお金もないと困ります。
人間社会は、まだお金をみんなが便利に使えるものとして、うまくコントロールする方法がわかってなくて、人間のほうが振り回されてるのが実情なんですね。
今の仕組みは、一時的には格差の頂点にいる人が得しているけれど、それは持続できないことがわかってます。
それでも目先の利益を追求してしまうのが人間なんですね。
目の前のお菓子を食べずに我慢すれば、あとでもっとたくさんのお菓子がもらえると言われた園児の多くが我慢できずに食べてしまうという実験を思い出します。
我慢した園児はその後、我慢できなかった園児より報酬の高い仕事につき、社会的に成功する割合が高かったというデータは何だか嫌味だけれど示唆的です。
この実験でいえば、今権力の頂点にいるのは、我慢強く賢い人たちのはず。
ならば今ある権力を放棄してでも利益を分かち合い、持続可能な社会になることを選ぶはずなんだけど。
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