患者が少ない耳鼻科がお気に入りだったけど
本当に年をとってくると、あちこち通院しないといけなくなるというのは本当のことだ。医療が受けられるのだからありがたいことではある。とはいえ、いちいちちょっとしたことで病院にかかっていたらきりがないという思いもある。わたしもできることなら病院には行きたくない。鼻アレルギーでどんなにぐずぐず鼻水が垂れても、耳鼻科にかかったことなどなかったし、かかろうとも思っていなかった。
ところが椎骨動脈乖離が原因で毎年脳のMRI検査を受けることになった。そこで去年突然副鼻腔炎らしきものが発覚。気になるから仕方なく耳鼻科に行った。脳外科のMRIではくわしいことがわからないというからだ。そこで、いつも患者が少なくて空いてる近所の耳鼻科に行った。
近所に耳鼻科はいくつかあるのだが、人気の病院は予約をとるのも大変なうえ、待ち時間もえげつない。アレルギーにしろ副鼻腔炎にしろ、どうせ完治するもんじゃなし、適当に処方箋を出してもらえばいいやと考えた。
耳鼻科に行けば、とりあえず副鼻腔炎かどうかぐらいわかると思っていたのが甘かった。その耳鼻科は肉眼でしか診察できないので、副鼻腔の状態は観察できないという。いつも空いてるだけのことはある耳鼻科だったのである。
そんなわけで紹介状を書いてもらって総合病院に行く羽目になった。ところが地方のボロい総合病院には耳鼻科専用のCTがない。全身用のCTを撮ってもらったところ、副鼻腔にのう胞があるというではないか。
でもこののう胞、病的なものではなく、粘膜線などの管が閉鎖して粘液が溜まってできたもので、わりとよくあるとかで、無症状の場合は経過観察でよいのだそうだ。ただもとの耳鼻科でアレルギーや副鼻腔炎の治療を続けるように言われたのだった。耳鼻科で処方されたステロイドの点鼻薬は劇的に効果があって、それまであった鼻詰まりや鼻水がすっかりなくなってびっくりして喜んでいた。
そうこうするうちに一年が経ち、先日、また脳のMRI検査で副鼻腔炎か例ののう胞らしきものがふたたび撮影された。のう胞だけならいいのだが、副鼻腔炎の可能性もある。副鼻腔炎はどうなっているのか。なんだか気になってきた。
鼻水や鼻詰まりはステロイドの点鼻薬で改善しているけれど、こんどは喉にはりついたような違和感がずっとあって治らない。医師に訴えても、それは仕方ないとろくにとりあってもらえないでいた。加齢のせいとあきらめるしかなかった。ステロイドの点鼻薬についても、適当にやめてかまわないと言われるのだが、やめ時がわからない。そもそも副鼻腔炎はよくなっているんだろうか? 肉眼ではわからないのだからこのクリニックでは確かめようがない。医師は確かめる気もない感じでらちが明かない。
そんなわけで、ふだんから内視鏡で診てくれるという評判の耳鼻科に行ってみる気になった。
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副鼻腔の状態は肉眼ではわからない
鼻の中は内視鏡でほとんどの部分が観察できるそうだが、外来診察では時間がかけられないことから肉眼がいまだに主流なんだそうだ。
わたしが通院していたクリニックではレントゲンやネブライザーはあるが、それすらほとんど使われておらず、患者に求められるまま紹介状や処方箋を書くのが仕事のようなクリニックだった。待たずに処方箋をもらうには都合のいいクリニックなのだが、ここでは鼻の状態がさっぱりわからないし、治療も期待できない。
とはいえ基本的な検査や最先端の機器が揃っている耳鼻科はどこも人気で待ち時間が長い。でも、鼻が今どんな状態なのか知りたいし、できるなら治療もしたい。そんな気持ちが膨らんで、とうとう人気の耳鼻科に行ってみることにした。
後鼻漏(こうびろう)が観察されて
耳鼻科用の座って撮影するCTで、例ののう胞がはっきり撮影された。ここでも、これは病気ではないので放置してよいと言われた。
内視鏡による診察で、のう胞のある側に後鼻漏(こうびろう)が見られるということだった。副鼻腔の膿は、後ろへ向かって流れ、喉に落ちやすいそうだ。これを後鼻漏(こうびろう)という。
後鼻漏が見られるとはっきり言われ、診察してもらったかいがあったと嬉しくなった。喉のはりついたような違和感の正体が気のいではなく後鼻漏のせいだとわかったからだ。副鼻腔炎がいまだに治っていないことがはっきりしたのもよかった。
副鼻腔炎も後鼻漏も完治するのが難しいので、放置したままになっている人も多いと聞く。改善するかどうかはわからないけど、しばらく通院してみようと思う。
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