いつどうしてこの本を予約したのかまったく覚えていない。
わたしはそのときの気分で図書館の本に予約を入れるのだけれど、すっかり忘れていたり、順番が回ってきたときに気分が乗らず、パスすることも少なくない。
年長者のエッセイを何冊か読んだ時期があって、おそらくその頃に予約を入れたらしいのだけれど、下重さんのこの本はたいへんな人気で、忘れた頃に回ってきたのでした。
下重さんが元NHKのアナウンサーで、これほど年長者の方とは知らず、正直読みたいとも思わなかったのだけれど、図書館で受け取ってみると、なお36人待ちというのでちょっと興味がそそられた。
軽過ぎる孤独にビックリ
いや正直さらっと読みやすかったです。
「アンアン」とかに連載されてた林真理子さんのエッセイを思い出しました。
極上という言葉づかいがそもそもミーハーっぽい。
極上って、コピーライティングの定番コピーとしてあるんですよね。商品名として失敗が少ないらしいですよ。
そういう意味で、タイトルと中身が一致してないといったご意見もあるようですが、タイトルどおりの軽妙な内容ではないかと。
重厚な孤独論を期待して読むとがっかりします。
これぐらい軽くないと売れないのかなぁ。
嫌味ととるか、憧れのライフスタイルととるか
石黒智子さんの本を読んだとき、その素敵過ぎる暮らしに憧れる一方、嫌味に感じてしまったときとよく似た、何とも言えない気持ちがよみがえってきました。
なんかわたし、妬んでる? みたいな。
この本は孤独をテーマとしているというより、ライフスタイルの紹介。
群れないで一人でいる時間を大事にすることや、一人で決断して一人で責任をとる姿勢をよしとすることなどを、ことさらに「孤独」と結びつけているところが不自然というかうるさい。
下重さん的にも素敵なライフスタイルを紹介するつもりで書いたのなら問題ないのですが、もしもほんとに孤独の良さを伝えたかったのだとしたら、完全に失敗してます。
孤独は、下重さんが述べているとおり、清々しさ、潔さ、哀しみ、淋しさ、そして自由と多様で重層的な世界を想像させるもの。
孤独を連呼したら、ほんとの孤独は味わえない。
孤独というと、わたしなら須賀敦子さんの随筆を思い浮かべる。
物語のように美しく切ない。
これまた「極上のエッセイ」と紹介されてるのが何なんですが……。
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