わずかな残り時間を無駄にしない読書選び

keizoku

好きな作家やジャンルがとくにない場合

古い名作も最新作もあれもこれも読みたいと思っていたらきりがない。一カ月に一冊読んだとして一年で12冊。あと三十年元気で読書できたとして360冊である。吟味して選びたいところだが、そんなことをする時間がもったいない。そんなときはある程度評価された作品が集められているアンソロジーがおすすめである。

アンソロジーとは複数の作家の作品が集められたもの。昔は豪華な全集ものがたくさんあったけれど、とても個人では揃えられないし、大きくて重い本はたとえ図書館で借りたとしても気軽に読むには向かない。そこでおすすめなのが創刊以来100年に書かれた名作を集めた新潮文庫の『日本文学100年の名作』全10巻。何せ文庫本である。どこにでも持ち歩けるし、全10巻揃えたところでじつにコンパクト。

手軽に日本文学をざっと100年振り返ることができる。中短編が中心なので、気に入った作家を見つけてほかの作品を読むきっかけにしてもいい。ただアンソロジーというと、誰が何を選んでいるかも重要だ。そこには必ず好みや個性がある。

それが気になるという場合は『東西ミステリー100』や本屋大賞歴代作品など、なるべく選者の多いものを読んでみるのもいい。たくさんの人が一定の評価をしている作品だから読んで損はないと思う。

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過去に読んだ本を再読する

好きな作家やジャンルが決まっている人は、過去に読んだ本を再読するのもおすすめである。

いい本は、読むたびに違った印象を与えてくれるという。新しい発見や受け取り方の変化を感じるのはおもしろい。何度も読んだことがある本は、あらゆるシーンで引用できそうだ。「たしかこんな言葉があってね」なんてさりげなく言ってみたいと思うのはわたしだけだろうか。すらすらと読んだ本の説明ができる再現性の高い読書に憧れる。

印象深い文章は、一度読んだだけで覚えられるという人もいるかもしれないが、物覚えの悪いわたしなんかは、ふいに思い出して語れるほど自分のものにはまずなっていない。タイミングよく思い出せたためしがない。「こんな一説があってね」といったぐあいに完コピするには繰り返し読んでいないと無理なのだ。

「こういう一文があってね」と言ってみたい。そんな幼稚なたくらみを持ちながら、お気に入りの本を再読するのもまた楽しい。

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