『AIvs.教科書が読めない子どもたち』をようやく読み終えました。
著者は2010年に『コンピュータが仕事を奪う』を書いて、人間に警笛を鳴らしていたそうなんですが、当時誰にも相手にされなくて、書店のSFコーナーに置かれてたとか。
いよいよ人間は人間にしかできない新たな仕事を見つける時代に突入する予感。
失業しても人生は終わらない
金融会社や保険会社の多くはコンピュータ化されて人手がいらなくなる。
カッコよくスマートにコンピュータで仕事をしてきた人たちがどうやら一番いらなくなりそうな気配なんだとか。機械化でますますコスト削減が進んだ挙句、労働者は機械より安い賃金で働かされるか失業するかもしれないのだ。
ワープロで文書作成するだけで結構なお金になった頃もあったんですよ。少し前までウェブデザイナーと言われる人たちも花形職業だったような。
それが今は検索上位にならないと話にならなくなってきてて、昔のテレビの視聴率みたいに競争激化。
グーグルの検索上位に上がるために、キーワードやら人の動きなんかを計算し、分析するツールの提供者がこれまたグーグルで、疑いもなく寄ってたかってみな使ってる始末。
どこから誰がお金をもらっているのか、そんなことも考えなくなってました。
学校教育は、めんどくさい人間を機械に寄せるようにして、管理しやすく優秀で均一的な労働者に育てるべく行われてきました。そのせいで唯一AIに勝てるはずの読解力が損なわれてきているというのだから笑えない。
機械を使いこなしているつもりの人間が、いつの間にやらむちゃくちゃ優秀な機械を持ってるごく一部の人にコントロールされてることにも気づかないでいるうちに、労働者も消費者もいなくなってしまいそう。これじゃほんとに空想科学小説です。
でもいつの時代も世の中は変わるもの。ある日突然、思いがけないかたちでいつ巻き込まれるかしれない。
嫌なことばかり考えて暗くなるのもどうかと思うけど、変化にビビッて何もできなくなるより、覚悟して今できることをやりたい。
小商いの時代到来か
AIに詳しくないわたしのような人ほど、AIは万能で、とてもかなわないとおののく。
でもAIは意味がわかっているわけではなくて、計算しているだけだという。
たとえば、
- 幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
- 1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
AIは上記2つの文の違いがわからない。
違いを判定できるようにするには、さらに気が遠くなるようなデータを覚えさせなければならないそう。
人間の読解力も最近はあやしいとはいえ、AIよりはるかに簡単にわかるようになるはず。
ほかにも「ミイラ取りがミイラになる」といったことわざの具体例を認識するといったようなことも難しい。
これについてもAIが具体例を認識できるようになるより、ことわざを知らなかった人が具体例を理解するようになるほうがずっと早い。
こうしてみると、人間もなかなかのもんです。
AIが得意な暗記や計算だけに依存しない、個人的で個別的、柔軟な対応が求められる分野の仕事が今後増えてきそうですよね。
そしてそれは家事とか子育てとか介護とか、これまでお金になりにくかった生活そのものに関わるところにある気がしてます。
こういう仕事は、生きてる限りなくならない仕事だし、困りごとも多いですから。
たくさんお金が稼げなくても、暮らしやすければそれが一番。暮らしやすさに重点を置けば、利益より持続性の価値が高まる。
小さな暮らしにはそんな小商いが向いてます。
誰もがそれぞれできることを小商いする時代になったらいいのに。
これはSFファンタジー……。
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