面白い本や読みたい本を選んではいけない。
作文教室で毎年人気のレッスンが読書感想文。ふだん日記や作文をろくに書いたことがないというのに、いきなり作文用紙五枚以上書かないといけないという。
さらに子どもたちのテンションを下げているのが課題図書のラインナップである。この中から選ばなければならない場合もあるが、好きな本を選んでもいいというところもある。ところがそれがけっこうくせものだったりする。
子どもたちが好んで選ぶ本は、極端な場合、図鑑や絵本のたぐいである。とくに読むのが苦手な子は、なるべく文字が少なくて楽に読めそうな本を選びがちなのだ。
ふだん読書をする子は、自分が好きなシリーズ本から選びたがる。とくに人気なのが推理ものである。
子どもたちは読むことに夢中で、書くことは残念ながら頭にない。
課題図書に選ばれている本は、いずれも感想文が書きやすい。中でも自分の体験とリンクしそうなものを選ぶことができれば、半分以上感想文ができたと思ってもいいくらいである。それほど選ぶ本は大事なのだ。
感想文を書くのに苦労したくなければ、読んだ本の話と似た体験や聞いた話が書けそうな本を選ぶのがコツである。読むのは、最悪読み聞かせでもかまわない。
あらすじは書いてもいいけど
読んだ本のあらすじを書いて終わってしまうのもありがちなケースである。
あらすじは書いてもかまわない。とくに作文用紙五枚以上などと言われたときは、前半はあらすじを書いて枚数をかせいでもまったく問題ない。
でも、感想文はあくまでも自分の体験や自分が調べたことや聞いた話を中心に書くもの。読んだ本は、最後の結びで少しふれれば感想文らしくなる。
感想文といっても、結局はふつうの生活作文と変わらないのである。ふだんから作文を書いたことがない人にとっては、なかなかたいへんな作業なのだ。
似た話は多少ずれてもかまわない。
読んだ本の話と似た体験や聞いた話が書けそうな本を選んだつもりでも、いざ書こうとすると、なかなか思いつかなかったり、どんぴしゃりと似た話がないことのほうが多い。
たとえば『転校生は宇宙人』という本を読んだけれど、クラスに転校生が来たこともないし、自分も転校したことがないという場合も少なくないと思う。そうすると感想文は書けないかというと、そんなことはない。
似た話は多少ずれてもかまわない。自分の学校生活のことやおもしろい友だちのことを思い出してみるといい。「もし先生が宇宙人だったら」「もし自分が転校生になったら」と想像したことを書いてもいい。家族に聞いた話を書くのもいい。この場合、学校にかかわる話なら何でも書けそうだ。
多少話がはずれても、最後の結びのところで「この本を読んで、・・・・と思いました。」といった感じでまとめると、立派な感想文になる。
作文は連想ゲーム
つくづく作文は連想ゲームだと思う。もらったお題で、いろいろ思考したことをまとめてアウトプットすることなのだ。似た話を見つけるというのをむずかしいことばでいうと類推という。
類推とは似たところをもとに、「だったらあれもこうかもしれない」と推理することだ。
ヒトひとりが体験できることには限りがある。また、ひとりひとり思考が異なるので、共感したり理解するのはむずかしい。でも、「もしかしたらこういう気持ちだったのかもしれない」と想像することはできるのである。
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